モバイルバッテリーの容量の選び方|5000・10000・20000mAhの使い分け
モバイルバッテリーは「容量(mAh)が大きいほど良い」と思われがちですが、実際にはそうとは限りません。容量が増えれば重く大きくなり、飛行機のルールにも近づきます。この記事では、表記の読み方から実際に使える容量、安全に関わるPSEマークや最新の航空機持ち込みルールまで、後悔しない選び方を整理します。
—まず知っておきたい「mAh」と「Wh」の違い
製品に大きく書かれている「10000mAh」は、内部の電池セル(公称電圧およそ3.7V)を基準にした電荷量です。一方、エネルギー量を表すのが「Wh(ワット時)」で、次の式で換算できます。
Wh = mAh × 公称電圧(約3.7V) ÷ 1000
たとえば10000mAhなら、10000 × 3.7 ÷ 1000 ≒ 37Whです。後述する飛行機のルールはこのWhで判定されるため、容量を機種横断で比べるときもWhが基準になります。
—「定格容量」と「実際に使える容量」は違う
ここが最も誤解されやすいポイントです。表記の容量(定格)のうち、スマホなどへ実際に充電できるのはおおむね6〜7割が目安とされます(製品・負荷・気温で変動)。理由は、内部の3.7Vを出力の5Vへ昇圧する際にmAh換算が目減りすること、そして変換効率や保護回路・ケーブルでの損失です。
つまり10000mAhでも、実際に取り出せるのは6000〜7000mAh前後と考えておくと現実的です。「自分のスマホの電池容量 ÷ バッテリーの実効容量」で、おおよそ何回充電できるかを見積もれます。
—容量別の使い分け(目安)
近年のスマホは電池が大型化(5000mAh級も珍しくない)しているため、「大容量=何回も充電できる」が以前より成立しにくくなっています。下記は目安として捉えてください。
- 5000mAh(約18Wh) — スマホ約1回分。名刺サイズで軽く、日中の保険として持ち歩く用途に最適。
- 10000mAh(約37Wh) — スマホ約1〜2回分。重量と容量のバランスが良く、多くの人にとって過不足のない定番。
- 20000mAh(約74Wh) — スマホを複数回、機種によってはノートPCも。重く大きくなるため、旅行・出張・防災など目的が明確な場合に。
—出力(W)とポート — 充電速度を左右する
容量と同じくらい大切なのが出力です。W = 電圧(V) × 電流(A) で、Wが大きいほど速く充電できます。急速充電の規格は主にUSB PD(Power Delivery)とQuick Chargeの2系統です。
- スマホの急速充電は概ね18〜30W級。
- ノートPCを充電するなら45W以上、確実に使うなら65W以上が目安です。
- 複数ポートを同時に使うと合計出力が各ポートに分配され、1ポートあたりの出力は下がります。ノートPCとスマホを同時に充電するなら、合計W数に余裕のある製品を選びましょう。
- 60Wを超える給電にはPD対応(eMarker内蔵)のケーブルが必要です。
—PSEマークは必ず確認(電気用品安全法)
モバイルバッテリーは2019年2月1日から電気用品安全法の規制対象です。基準を満たした製品には丸形のPSEマークが表示され、マークのない製品は事業者が販売できません。粗悪品・事故品を避ける第一歩として、購入時に本体へPSEマークの表示があるかを必ず確認してください(参考: 経済産業省のFAQ)。
—飛行機に持ち込むときのルール(2026年4月24日改訂)
リチウムイオン電池は発火リスクがあるため、航空機では扱いが厳格です。2026年4月24日から国内のルールが強化されているので、古い情報のままにしないよう注意してください(出典: 国土交通省の案内(PDF))。
- 預け入れ手荷物には入れられません。必ず機内持ち込みにします。
- 160Whを超えるものは持ち込み不可(160Wh以下のみ可)。
- 機内持ち込みは合計2個まで(各160Wh以下)。
- 機内でモバイルバッテリーへ充電すること、モバイルバッテリーから他機器へ給電することは禁止(機器の充電は座席の備え付け電源を使います)。
- 違反すると航空法により罰則が科される可能性があります。
20000mAhでも約74Whなので容量自体は問題ありませんが、個数の上限と機内での扱いに注意が必要です。さらに航空会社が独自の制限を設ける場合があるため、搭乗前に利用航空会社の案内を確認してください。
—重量・サイズの目安
容量が増えるほど重く大きくなります。目安(製品差が大きい)としては、5000mAh級で約100〜130g、10000mAh級で約180〜250g、20000mAh級で約350〜500g前後です。携帯性を重視するなら、必要十分な容量にとどめるのが快適に使い続けるコツです。
—安全に使うために
- 発熱・膨張・劣化のサインが出たら使用を中止する。
- PSE適合品を、正規の販売ルートで購入する。
- 高温の車内や直射日光下に放置しない、強い衝撃・圧迫・水濡れを避ける。
—よくある誤解
- 「mAhが大きいほど良い」 — 実効は6〜7割で、スマホの大容量化により回数換算は想定より少なめ。用途に合った容量+出力+携帯性で選ぶのが正解。
- 「定格容量=使える容量」 — 電圧変換と損失で目減りします。
- 「大容量ほど旅行に有利」 — むしろ逆で、容量が大きいほど航空制約(160Wh・個数)に近づきます。
—用語集
- mAh — 電荷量。電圧次第で取り出せるエネルギー量が変わります。
- Wh(ワット時) — エネルギー量。航空ルールの判定基準。
- 公称電圧 — リチウムイオン電池でおよそ3.7V。
- USB PD — 最大100W(規格上は240Wまで拡張)の急速充電規格。
- PSEマーク — 電気用品安全法の適合表示。モバイルバッテリーは丸形。
—まとめ
モバイルバッテリーは、容量の数字だけで選ぶと「重いのに思ったより充電できない」となりがちです。実効容量は6〜7割と見込み、必要な出力(W)を満たし、PSEマークを確認する。そして飛行機を使うなら最新の航空ルールを確認する。この4点を押さえれば失敗しません。具体的な製品は、下記の関連商品やモバイルバッテリーの比較ランキングで、実レビュー評価と各ストアの価格を見比べて選んでください。
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